一大事にこそ要注意-「不具合選別 後編」
さて、ここからは準備編で扱った要点のほか、対象ロットの絞り込みも済んでいる前提で、実作業段階の要点についてお話を進めてまいります。「選別を行なっている現場、実作業」を想定した時、以下の3点がその要点となるでしょう。
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[1]. 選別時の識別と隔離の方法
[2]. 選別の所要作業時間の把握
[3]. 選別結果のまとめ方
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[1].の識別については赤ペンでのマーキングが一番手頃な手段と言えますが、単に「欠陥箇所への点付け」で済まさず「一目見て分かるNG表示」を行なうことが推奨されます。隔離についても通常製品が入れられる容器とは完全に異なるNG品入れ専用の箱を用意するべきです。
[2].は段取り時間を除いた作業開始からの10分でサイクルタイムを割り出しましょう。
[3].については選別完了後から行なうのが普通にも思うところですが、作業開始前に選別対象の総数と1箱当たりの員数、1パレット当たりの箱数を再確認・把握しておくことが大事です。
選別のような普段と異なる状況下では、どんなに注意していてもNG混入のリスクが付き纏います。少しでも確実な隔離を行ない、混入を検出し易い識別をかけておけばなりません。また多くの場合、選別の実施要請は猶予がないからこそされるもの。選別を始めたが猶予までに作業を終わらせることができなかったとなれば本末転倒。サイクルタイムの把握とタクトタイムに対する作業計画立案はその防止線なのです。最後に、まとめが疎か(選別対象数と選別総数が不一致、選別総数とOK/NGの合計が不一致)だと選別漏れやライン上への混入を疑わねばならなくなり、再選別や選別対象規模の拡大につながります。また選別上、OK/NGの割合、NG品はどこ(どのロット、どの梱包、どのロケーションにあるもの)から何個出たのかなどもまとめておかないと作業後に客先と不具合対策の打ち合わせをすることもままなりません。
前回の記事からは割愛しましたが、不具合混入が疑われるロットの特定は選別の規模を絞り込むために必須の作業。客先から展開された不具合情報をもとに、いつから不具合が発生していて、どこからどこまでのロットに不具合品混入の可能性があるのかを特定できなければ、不具合品の市場流出まで考えねばならず、不具合による影響度によってはリコールにまで話が及ぶことにも。非常時の対応力は企業にとって最後の命綱なのです。