【消去法の新卒採用】vol.3
最終章 有効な採用方法 ~新入社員を起用しろ!~
新卒採用を行う上でどのような運営チームを編成すればよいでしょうか。大手企業などでの一般的な編成は、マネージャー以上の役職を持つ基幹社員や練磨のスタッフで成り立っています。采配が安定し、仕事の効率も良いため運営は極めてスムーズ。絶対の実力者たちが表に出ることで学生に与える印象効果も言うに及びません。
では、中小零細企業が新卒採用をするにはどのような運営チームを編成するのがよいのでしょうか。小さい規模の会社が一般的な採用を行ったのでは、様々な問題の発生が懸念されます。自社の役職クラス、つまり営業部長や工場長レベルの人員を採用に投じた場合、どれだけの損失が生じるのでしょう。具体的に言えば、営業活動や現場でのエースが不在となり生産性が落ちるわけですから、採用を行っている期間中、利益が著しく低下するということです。このことから、チームの主力として役職クラスの人が採用に関わることは事実上不可能であることが分かるかと思います。
そこで損失を抑えつつ中小零細企業が新卒採用を行うために、昨年獲得した新入社員を運営チームに起用する案が出てきます。彼ら自身も近年まで就職活動をしていたことから学生の就職活動の実状に精通しており、その価値観や感性が似ています。学生側から見て運営スタッフの年齢が近いことは親近感を得るのにも役立ち、発言が本音として受け入れられやすく入社の意志を強化するでしょう。その姿から学生は入社後の自分を連想しやすくなり、そこからポジティブな印象に操作できれば入社の確実性を向上させることも可能となります。
反面、入社間もない状態での新卒採用への投入は新入社員に対して採用の裏舞台を見せることとなり、モチベーションを下げる危険性に繋がります。これが定着の阻害要因となりうる可能性は否めません。運営スタッフとしても力不足な面は少なくありません。実際にハラサワでも新入社員を採用運営スタッフとして起用していますが、離職を防ぐために積極的なコミュニケーションを取り、徹底した新人教育を欠かしません。
大卒新卒者の新入社員を採用に登用することで挙げられる一番のメリットは、学生が集まりやすくなるということにあります。実質的な応募者、会社説明会の参加者の大半は過去に実績のある大学から集まることになりますが、大学への挨拶や求人の依頼をOBである新入社員にさせるとどうなるかをちょっとご想像ください。「ちょっと前まで自校の生徒だった人間が、就職課の人々やお世話になった恩師を訪ねてくる」。まず悪くない形にことが運びます。得られる現4年生の就活に関する情報も他の人間が行く時より一味違うはずです。母校で生じるだろう後輩たちとの接触も、事前にどう対処すべきか打ち合わせておけば採用上でプラスの影響に働くのは想像に難くありません。上手く会社説明会に学生が来た場合も、OBの社員がいることで安心感が生まれ、入社の意思が固まりやすくなります。
採用が最も難しいのは、いくつもの要素を複合的に判断せねばならない点です。学生も大学の偏差値や成績だけで判断できません。もちろん大学のレベルや成績書が一定の判断材料になることは間違いありません。履歴書や連絡上のやり取りでもある程度窺い知ることは可能ですが、それらで人の、今と将来の姿を捉えるのはなかなか困難です。ハラサワでは話し方、仕草、姿勢、服装まで注意を払い、特に面接では学生にリラックスさせて少しでも緊張を解くような質問や雰囲気作りを心がけています。さらに先にも述べたように価値観や感性が似通った新入社員を運営スタッフとして採用に投入することで学生の緊張を解くだけでなく、学生本来の個性を知る一つのツールとしているのです。
ハラサワでは大卒新卒採用を始めて7年となりますが、採用運営に新入社員を起用するということは、今までの経験や実績から見てもきちんと効果を得られている案であるといえるでしょう。
ご講読ありがとうございました。次稿にご期待ください。