中小零細企業に欠かせない離職抑制とは?
中小零細企業にとって非常に重要です。しかしどのような対策をすればよいのかはっきりしない方も多いかと思います。対策したことでどのようなメリットがあるのかを解説させていただきます。次号以降も離職対策について解説する予定です。
- コストが大幅に削減できる。
離職抑制ができるようになると、まず経費が大幅に削減できます。従業員が辞めなくなるので採用の必要性が大きく減るからです。しかし「求人サイトに掲載するためのコストが浮く」だけではないのです。
多くの零細企業では人事部門がありません。20人ぐらいの組織でも「総務」と括られた業務群をこなす従業員が1、2人いる程度で、それさえも専業ではないことがよくあります。つまり、採用活動をしている人々は、本来その業務に使わなくて良い人件費を使って採用活動をしているのです。そして、多くの場合、その人々は採用活動以外の業務をすることで利益を発生させることができたはずです。
この利益を粗利で計算するなら、単位時間当たりの人件費の3倍から5倍の額になることでしょう。つまり、時給1500円となる従業員が1時間採用活動をすると、人件費1500円を投じて、本来稼げた粗利(、仮に3倍だとすると)4500円を捨てているので、合計6000円をかけていることになります。
さらに、不採用にした候補者にかけた採用活動の時間にも同様の計算が成り立ちます。それは最終的に採用した人員の採用コストとして載せることになります。このようにして試算してみたら、あるパチンコ店で採用したアルバイト・スタッフ一人の採用コストは60万円以上となったこともあります。雇ったアルバイト・スタッフが採用後いきなり辞退してきたら、60万円の粗利を失ったのと同じなのです。離職が抑制できるとこういったコストが激減します。
■オペレーションの速度が高まる。
従業員が辞めないと、平均在職期間が伸びるので、研修などを行なって育成を充実させることができます。仮に研修制度が不備だったとしても、同じ業務を長く繰り返すことで習熟度が上がります。その結果、日常のオペレーションのスピードが上がります。単に慣れで作業スピードが上がるだけではなく、自律的に動ける従業員も増えてきますので、いちいち指示したり、指示結果を確認したりする手間が段々と減少してきます。そうすると、ホウレンソウなどのコミュニケーション・コストが減ります。
■収益性まで上がる。
よく「自転車に当たり前に乗れるようにならないと、出前持ちはさせられない」などと表現しますが、通常のオペレーションが円滑にできるようになると、何か付加価値を作る附帯的な作業を組合せでできる余裕ができます。
ここまで来ると、様々な指標が上向いてきます。例えば営業担当者全体の毎日の訪問件数も受注確率も上がって来ます。競争力が上がれば、シェアも上がり、価格の引上げも容易になります。