文章を理解するための精読の効用・前編

ai_writeもっぱら話題のAIですが、その中でも国立情報学研究所が研究していた東ロボくんが有名です。このプロジェクトを通して再確認されたことは「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」新井 紀子:著(東洋経済新報社)でも述べられているようにAIはあたり前の読解さえできないことでした。また今の中高生たちはAIが弱点とする読解力さえAI以下しか有さないということが明らかにされています。採用の場面でも重視される風潮にあったコミュニケーション能力へのニーズはこうした問題の発現の一端だったのかもしれません。業務におけるAI導入が進む可能性と、school_test_enpitsuそれに相対して人間には人間にしかできない仕事が求められていくという趣旨の主張は数多くのテキストが語る通りですが、今回の記事はこの読解力の向上のための手法の紹介となります。前編として読解や要約について。後編として読解力のある人、ない人の違いとその弊害についてお話いたします。

book_dokusyo_kansoubun初等教育の段階から国語の授業でされる「要約」の作業を覚えていらっしゃいますでしょうか。正直、よっぽどの優等生や本の虫のような奇特なタイプの人間でない限り、「要約」の作業をまじめにされる方はいないでしょう。「語」の連なりからなる「文章」、「文章」のまとまりから成る「形式段落」。そして「文章」の持つ意味をまとめた「意味段落」、教科書の文章に線を引いたり囲ったりして整理し、構文の面から見てのそれぞれの役割や意味を捉え、その上で一連のものとして見直したとき、どのような意味になるかを纏める要約を行います。確かに面倒ではありますが、book_hon_no_mushi_man_bugこの作業は「読解」を手法的に学ぶもので著者、話者の意図を解いていく基礎となります。しかし、読解力がある人とない人の違いは、会話や文章に対してこの正確な要約がよくできているかどうかが大きく関わっていると考えます。それについては次回のメルマガで後編として説明いたします。