購買部課長に聞いた!海外メーカーの指導で困ったこと
昨今変化目まぐるしい社会情勢と、それに影響されて一層難しくなる操業。様々な業界の様々な企業で最前線を戦う方々に今どうで、これから何をするのかを問い、記事にするドキュメンタリーテイストのシリーズ。今回はその第3回。前回からの続きとして海外メーカーとの取引上の苦労にまつわる情報をみなさまに提供いたします。
前回にてその苦労から管理部門の優秀な実務担当たちの1/3が潰れてしまったお話をいたしましたが、海外メーカーのある国はAPEC加盟国の内のアジア圏の一国。その国では、ゴネ得の価値観ゆえにコミュニケーションが難航するのが常なのです。その上海外メーカーの雇用が流動的過ぎます。責任のある階級の人材ですら月単位で人が入れ替わるため、取り交わしたルールや約束、知識と技術の指導が引き継がれない問題が頻発します。一進一退で何度も同じ指導と説明を繰り返すことになりますが、公私の優先順位が日本とは異なる国では「やらねばならない」より「やりたくない」が優先される価値観。監視を怠るとすぐに仕組みは崩壊するのです。
さらに我々を困らせたのは「友好」という概念の食い違いでした。彼らにとって「友好」とは損害を押し付けても構わない関係性と考えている節があるのです。大規模な不具合による損失の埋め合わせを交渉すると、平然と「御社と弊社は友好的関係にある。ゆえにこの損失についての補填を免除してほしい」などと平然と言ってくるのです。これは「顧客に迷惑をかけるのはNG」という取引におけるモラルは通用しないことを強く認識させる一例でした。最終的には事態の終結のために常務と本部長が出動し、それでもなお1年の時間を要しました。
海外取引の苦労はこれだけではありません。ただ海外メーカーを相手にするだけでこれだけ苦労するのに、恐ろしいことに自社の人間の中から批判を始める人間が現れ出すのです。
海外取引を実務レベルで扱う人間は社内でも本当に極少数派。それゆえ周囲の理解が得られず、心無い言葉をかけられることは少なくないのです。こうして実務担当はさらに疲弊していくのです。しかし多大な苦労を掛けてまとまった話も、過去に社長の気分でひっくり返る事例がありました。さながら「賽の河原」のような展開に耐えられる人材はそう多くありません。ただその苦労をしてなお得られる旨味は大きいのです。次回は「海外メーカーの凄いところ」について、その一端について触れていきます。