多能工化で社員をレベルアップ

・多能工化を知っていますか?

 前回は今こそ人材獲得のチャンス、というお話をいたしました。しかし、すぐには人材を確保する体制を取ることが出来ない…、という方もいらっしゃると思います。ならばそれを補うための方法として「多能工化」で社員をレベルアップするのはどうでしょうか。「多能工」とは、一人で複数の業務や工程をこなすスキルを持った社員の事です。これによって仕事が一人に集中することがなくなり、効率化が図れます。組織力強化にもつながり、自分の本業以外を知ることで多角的な視点を持って仕事に取り組めるようになるという様々なメリットがあります。

・多能工化に必要なこと

では多能工化を進めるには何が必要でしょうか。最初に会社にどのような業務があるのかの洗い出しから始めます。商品知識はもちろん、営業をするための基本や、電話応対、発注や納品書の作成といった販売事務作業全般などの業務です。その後属人的な業務になっている部分、無駄なコストがかかっている部分、人手が足りていない部分などを中心に、多能工化を検討していき、割り当て可能な人材に割り振っていきます。元の担当が新しい担当に教える体制を整えることも重要です。新しい担当を持たせることは時間が必要だからです。

・多能工化にはデメリットもあります

 多能化には大きなメリットがありますが、反面デメリットもあります。一つ目は、育成に時間と費用がかかることが挙げられます。覚えさせる業務が多くなりますが、これらの増加は必然的なので最初から長期的な計画と思って進める必要があることです。

 二つ目は評価を適切に行わなければ社員から不満が出やすいことです。行っているすべての業務内容で評価する必要があり、所属する部署のみでの評価のままでは、それ以外の業務を評価する場所がないことになります。これを解決するには評価システムに部署の概念を無くしてしまうことが手っ取り早いでしょう。大きな企業では難しいでしょうが、中小零細企業なら可能かと思います。また、当初の求人票の内容と異なってくる可能性があるため、特に経験の浅い社員からは「説明されていた仕事内容と違う」と不満が出て離職の可能性がある場合もあるので評価システムの説明も必要でしょう。三つ目は業務負荷が高くなりやすい傾向にあることも挙げられるでしょう。これには社員の適正を考え、ある程度の人数で全体の仕事にあたらせることで負荷を分散させることに注意する必要があります。

メリットとデメリットは確かに存在しますが、少子高齢化の影響下ではどこかで必要になってくるでしょう。今から準備すればその時に慌てずに済みそうです。