新シリーズ開始!メタルレポートⅡ(パンチングメタル)
これまで弊社で取り扱う主だった素材について取り上げていたメタルレポート。今回からは新たに「メタルレポートⅡ」と題し、加工された素材についてご紹介していきます。最初はパンチングメタルです。
●どんなものなの?
パンチングメタルは、金網の一種である鋼板に対して穴あけ加工を施したものの総称(※「孔」との表記もあるが、弊社では「穴」で表記)で、打抜金網とも呼ばれています。主に穴で音や光、気体、液体、粉体など特定のものを通す/分別する機能で利用され、高い耐久性を持ち、軽量かつデザイン性の面でも優れるなどの特徴があります。
ただ、パンチングメタルには統一規格が存在しません。そのため各社各様にその品目が構成されており、ユーザーはオーダーの際、どんなものが欲しいのかをしっかり伝えられるだけのパンチングメタルに対する予備知識が求められることになります。
①板厚より小さい直径の穴はあけられない、②骨(バー)の大きさは板厚よりも大きくなければならないという製作上の2大原則や、市場の需要や加工の限界から自然発生した規格が一応ありますが、これも各社の保有設備や技術力、条件次第では制約をクリアできる場合があり、絶対の基準にはなりえません。この他にも製品の実現上、注意せねばならない条件がいくつもある、少しややこしいモノなのです。
●何に使われてるの?
パンチングメタルの用途は広範に渡り、私たちの普段の生活の中でも身近に目にすることができます。パンチングの穴は丸穴、長穴、角穴、装飾穴など様々なバリエーションがあり、素材の種類も豊富。穴をあける箇所や面積、穴のパターンも基本的に自由です。資材としての利用だけでなく、装飾材としても活用され、例えばハラサワの製品だと照明シェードが挙げられます。(※製品紹介のページには画像も掲載しておりますので、ぜひご覧ください。)
篩として生まれた由来から、フィルターやストレーナー、選別機や粉篩機の部材として用いられるのが多いですが、軽量かつ頑丈な特性からカバーとしても利用されます。
●どうやって注文するの?パンチングメタルの注文の仕方
本稿のご講読よりパンチングメタルにご関心を寄せてくださった方が次に気になるのは、オーダーの仕方でしょう。上述の通り少しややこしいパンチングメタル。これから注文する際に用いる語や、注意点についてご説明します。
オーダーにあたり、最初に材料自体の仕様を指定しましょう。
『①材質×②板厚(t)×③幅(W)×④全長(L)』
この辺りは鋼板の発注様式と同じです。
次にパンチングの仕様の指定です。定めるべきは次の4つ。
『⑤穴径×⑥ピッチ×⑦パターン×⑧余白』です。
⑤の穴の直径は「D」または「φ」、⑥のピッチは「P」のように表記します。ここで注意して欲しいのが、「ピッチは穴の中心から次の穴の中心までの距離を示している」ということです。穴の円周から次の穴の円周までの距離は「骨」もしくは「バー」を誤解していると意図した製品は得られません。⑦のパターンは「60°」、「45°」、「並列」の3パターン。パターンのイメージは図のようになります。
パターンを指定する際に注意して欲しいのは、「板厚や素材の性質、パンチングの密度によってパターンが端から端まで一定にならないことがある」ことです。これは「飛ばし型」と呼ばれる金型で加工するために起きるのですが、イメージとしては図のようになります。
最後が⑧の余白です。弊社では「フチ」と呼んでいますが、フチの有り無し、あるいはフチの大きさを指定してください。イメージとしてはパンチングメタルに額縁状に穴のかからない範囲を指定する作業になります。なお、板巻きのパンチングパイプを製作する場合は、溶接の都合上、必ず展開長方向の両側に5mm以上のフチが必要となるのでご注意ください。
●製品イメージを固めよう!
これらを定めれば、パンチングメタルの完成は目前です。さあ、あなたの考えているパンチングメタルはどのような物でしょうか。注意ばかりの内容になってしまった感がありますが、弊社へパンチングパイプの製作をご依頼される際の参考になれば幸いです。また別の機会でパンチングパイプに関するお話もできればと考えておりますので、どうぞ楽しみにしてお待ちください。