企業の寿命 ~存続の長い企業に起こること~
年明け早々世知辛い話題で恐縮ですが、みなさまの企業の業況はいかがなものでしょうか。アベノミクス効果による景気回復機運が囁かれてからも、実感としては依然厳しい状況の中小企業。通年データとして収集できたものの中で最新の東京商工リサーチのデータによれば、2014年(2014年4月~2015年3月)年の間で国内企業の倒産件数は9,731件。およそ10,000社近い企業が無くなっているとのデータを目にすることができます。社会から必要とされ、興った企業。それでもなお存続し続けることの難しさがこうしたデータから見て取れる気がします。
さて、倒産は最も避けたい事態ではありますが、同様でさらに身近にある問題をみなさまはご存知でしょうか。それは「休廃業」「解散」です。
この企業の休廃業や解散は倒産に対して約2.8倍もの件数。なんと24,153件もの企業が存続不能との判断により、世を去っています。
なぜ多くの企業がこのような「休廃業」「解散」に追い込まれてしまうのでしょうか。
中小企業庁の2014年版中小企業白書によれば廃業を決断した企業のうち「経営者の高齢化や健康問題」を理由とする者が約5割、「事業の先行き不安」が約1割とその理由が述べられています。こうした資料からは高度経済成長期に創業・設立された企業の経営者たちが引退の時期に差し掛かり、気力・体力の衰えから事業の継続を困難と判断して休廃業や解散を選択していくということを読み取ることができます。
不老不死は人類の夢ですが、現実には人は年を取っていきます。こうした事態もやむを得ないことなのかもしれません。しかし個人の引退や退職と法人の休廃業や解散では社会的影響の規模が全く違います。会社が一つなくなれば、仕入れ先は元より、客先も供給元を失って大きなダメージを被ります。我々もこうした事態に巻き込まれぬよう、取引先の「寿命」に注意せねばならないでしょう。