『入社1年目 上手くいく人へ成長するコツ33』で学べます

昨今、メディアでも新卒社員をはじめとした若手人材の超早期離職が大きな話題となっておりますが御社ではいかがでしょうか。以前から同じ話はございましたが、SNSでの周囲との比較や退職代行といった手段の拡充もあって事態は一層進んでいるようです。ただでさえ採用の場面で苦戦を強いられる中小企業にとっては「泣きっ面に蜂」。今回は指示や指導の内容が納得できるかどうかを重視しているZ世代の若手への社員教育に対して、その正当性、妥当性を新入社員たちに納得させるための材料や参考になるかもしれない一冊をご紹介いたします。

『入社1年目 上手くいく人へ成長するコツ33 (2024年発行)』でターゲット層としているのは新入社員。本書の使い方としても内容的に指導対象の若手たちへ読ませるのが適当と思われる構成で、4章からなる内容はマナーや心掛けについての内容を主とした準備編、基礎編、実務スキルに関する内容を主とした実務編、上級編から成ります。

正直、「当たり前」と思いたくなる内容ではあるもののベテランなら当たり前のことでも、新入社員達からするとなぜそれをするのか理由を理解しづらいことが完結に、読みやすくまとめられているのが本書のいいところ。例えば「基本13 後でお礼を言う・伝える」のご馳走になった上司・先輩に翌日もお礼をいうという話は、上司や指導担当がこれを直接的に指導すると反発を招きやすいでしょう。かつて自分が新入社員だったころ、するように言われてどう思ったのか思い返してみてください。通常であれば指導後にも理解を促すフォローせねば「昨晩お礼したのに、なんでまた?パワハラ、あるいはそんなに恩を着せたいの?」などと勘違いされかねません。その点この書を指導の中に組み込めば、指導しにくい、あるいは指導にリスクが伴うことでも若手たちが冷静に飲み込んでくれることが期待できるはず。

直近の話題で一番の騒ぎとなった食品加工会社の事例を見てもわかる通り、SNSの浸透と流行により労使間のトラブルは内輪に留まりません。例えオーナー会社の形態の企業であっても、対岸の火事と見ているのは危険でしょう。かつては立身出世のために滅私奉公するのが当たり前でしたが、今の若者たちは「今堪えれば、今頑張れば後できっと報われる」などという空手形を信じません。刹那主義的な傾向が強くそれを踏まえたマネジメントが必要なのです。