検査で防げた問題がある? レイアウト検査の重要性 

製品の品質を確認、保証するために寸法検査を行なうのは製造業では当たり前のことですが、御社あるいは御社の仕入れ先様はきちんと図面全項目測定(レイアウト検査)をされていますでしょうか。今回は図面全項目測定(レイアウト検査)の必要性について示唆した記事となります。

図面全項目測定(レイアウト検査)は多くの場合、製品の量産立ち上げ前や工程変更、異常の発生時や不具合の対策時に図面通りの製品がちゃんと作れているか、問題はないかを確認するための機会として実施され、図面の全項目を省略せず、計量値で測定検査(治具でのOK/NGでなく、実測による確認)をすることが原則です。

さる企業で起きた事案です。受注した新規案件の立ち上げの過程でこれから製造することになる製品の試作品を品質確認のために測定検査する際、図面上自社の保有設備では測定できない箇所、形状をゲージで代替的に評価して合格判定としました。しかしその後その箇所、形状の出来栄えは図面寸法を満足しておらず、量産開始後により市場に近いところで不具合となって顕在化し、大問題になったのです。量産開始後は部品検査法/検査規格に基づいた限定された項目のみ、実務の都合に合せた略式の寸法検査で品質の確認、保証がされます。だからこそ、一度でも図面の全項目を測定し、本当に問題がないかを確認しておく必要があるのです。

異常や不具合の時も同様です。出荷した製品の梱包が輸送上で落下し、これを理由に返品され、落下によるダメージの影響がないかを確認することになったら御社ではどこまで確認をされますでしょうか。もし外観検査での確認までなら不具合発生を覚悟せねばなりません。一見問題がないようでも落下の衝撃により予想していなかった部位が寸法NGになっていた、などということは日常茶飯事。不具合でNGとなった製品を手直しして再納入する場合も、手直しの影響を受け、不具合部位とは別の箇所が寸法NGになってしまっていたなどということはよく起こります。

自社の設備では測定不能な項目に対しては工業技術センターなどを利用することで「設備、機器がないから測れない」という問題も解決できるでしょう。初期段階あるいは万が一の異常や変化点、不具合対策時での品質に対する堅実な姿勢は客先からの信頼を得る武器となるはずなのです。