中小企業はジョブ型雇用が難しい?
みなさんはジョブ型雇用をご存知でしょうか。最近大手企業を中心に出てきている考え方ですが、企業にとって必要なスキル、経験、資格などを持つ人材を、職務内容などを限定して採用する雇用方法です。職務が限定されているため、専門的な働き方が出来ますし、専門外の仕事をしなければならないということもありません。企業にとっても必要な職務に必要な人材を採用できる、というメリットもあります。よくジョブ型雇用のほうが良い、という意見もありますが実際それは可能なのでしょうか。
少なくとも日本は中小企業が多く、さらに小さい零細企業も数多く存在しています。そのような企業では一人が様々な仕事を兼任していることが多く、専門的とはとても言えません。特にハラサワでは、製造や営業、納品まで行うことが出来る社員が複数おり、その他企業全体の業務に幅広く関わっています。だからこそ、ハラサワには部署がほとんど存在しないのです。そのため、新入社員には多くの仕事を経験してもらい、誰であっても対応できるという体制を目指しています。
一方、大手企業は多くの人材を抱えているため、比較的限定した仕事に集中させることが出来ます。この状況はジョブ型雇用に似ていないでしょうか。つまり、ジョブ型雇用は大手企業に合っている雇用方法だと言えます。ジョブ型雇用とは反対に一人が様々な仕事をするのがメンバーシップ型雇用と言われています。実際、企業全体の業務は多岐にわたります。企業規模が大きくなればそれぞれの業務は大きくなりますが、それに伴い専業的な社員は増えます。
これは中小企業に合っている一方、専門的な人材が育ちにくいため国際競争力で劣る原因とされていますが、決して間違った方法ではないと考えています。以前から続く新卒一括採用が日本雇用の実態に合っているため、メンバーシップ型雇用が生まれたのだと思います。また、以前より薄くなったと思いますが、日本人は集団への帰属意識が強くあるため日本人向きに思えます。良くも悪くも皆同じに、という意識がこの体制を生んだのではないかと考えています。
ジョブ型雇用が悪い方法ではありません。しかし、導入できるのは人材が豊富な大手企業のみであり、中小企業には向いていない、ということは言えると思います。メンバーシップ型雇用を一様に否定するのではなく、それぞれの企業に合った方法で採用すればよいのではないでしょうか。