浅学にして非才の身ながら2011年に先代より社業を引き継ぎ、現在に至ります。私が考える当社のあり方はグローバルなビジネスなどといった大それたものではありません。舞台は飽くまでニッチな市場。目の前のお客様を満足させることに力を注ぐのがハラサワの経営。創業のころからの伝統です。
これまでもハラサワは幾度も窮地を脱してきましたが、これは単に運が良かったということではありません。創業者の代より続く、お客様をとことん大事にする姿勢。「どんな仕事でもきっちり、早く、丁寧に、喜ばれるように」。この理念に基づく私たちの仕事が、お客様からの信頼を勝ち取ったからのこと。
やろうと思えばできるはずなのに商売を考えるとできない。他ではやってくれない。試作屋に任せれば、品物はできるがコストが跳ね上がる。でもなんとかしたいと困っている。そんなお客様のジレンマの中にあるニーズにお応えするのが、私の考えるハラサワの商売。
大きな会社であれば回転と効率を重視するのが正しい経営なのかもしれません。しかし、私は当社をご贔屓にしてくださるお客様一人ひとりをとことん大事にしたいのです。何がお困りなのか、どうしたら喜んでいただけるかを常に考え、量産と試作の隙間(ニッチ)を賄う商売、利益と顧客満足の追求の中で小さな組織だからこその強みを武器に、お客様のニーズへより深く踏み込んでいく。かつて子供たちの笑顔を喜びにハラサワを起こした祖父と同様、ハラサワを頼りにしてくださるお客様の声に徹底的にお応えしたい。それが私の理想です。
自分には天才の閃きのような特別なアイディアや、秀才の英知のような素晴らしい知恵があるわけでもありませんし、近い将来に飛躍的な成長をするような歳でもありません。
いたって凡庸な人間ですが、社業を担う責任を負う立場の人間としてできうる限りを尽くし、お客様のああしたい、こうしたいといった要望、不満、不足、困りごとを埋める経営を目指します。今後ともハラサワをご贔屓のほど、よろしくお願い申し上げます。