営業オークボの科学技術解説・銅の溶接
営業スズシロ「おはようございます、オークボ先輩」
営業オークボ「おはよう、スズシロ」
(以下SとOで表します)
S「最近知ったんですけど銅って殺菌は出来るらしくてすごいですね。レモンとかにつないで電気を取り出すだけじゃないんですね」
O「小学生の理科で出るような話をよく覚えているな… モーターのコイルとかあるだろう…」
S「そうだ。銅を溶接して大きな物を作れば、何かを一気に殺菌できるということに…」
O「まあ、そうなんだが… そもそも銅の溶接って簡単じゃないんだぞ?」
S「えっ? そうなんですか?」
O「溶接をするには熱を加える必要があるが、その熱が溶接する箇所以外へもへと逃げてしまって、銅は溶接部に十分な溶け込みが得られず、溶接が難しくなるんだ」
S「銅って熱伝導率が高かったと思いますが、それがそのまま弱点になるってことですね」
O「その通りだ。さらに特性として熱による膨張、収縮をしやすい。だから熱による変形も起こりやすい。特に純銅は割れやブローホールも発生するしな」
S「えっ? ブローホールってなんですか?」
O「溶接したときに内部に出来る空洞だ。溶接する物と物の間にあった不純物が金属内に入って出来るんだ。ちゃんとくっついてないから丈夫ではないな」
S「う~ん、難しいですね。じゃあ、全く溶接は出来ないんですか?」
O「いや、ろう付け溶接なら可能だ。材料同士を溶かさない瞬間接着剤のような方法だからな。他にも熱が加わる時間が短いスポット溶接でも出来る。それでも厚すぎる材料は加工できないが」
S「じゃあ、厚くなければいいんですね? そんなに難しい溶接で何を作ってるんですか?」
O「板同士を溶接して半導体ベース板、放熱板を作ったり、小さい部品同士を溶接して電極、コイル、ガスケットを作ってる。まあ、比較的小さいものが多いな」
S「えっ? それじゃあ銅を溶接して大きな物を作って一気に殺菌することは出来ないんですか?」
O「できなくはないがきれいには出来ない。溶接しないんだったら銅板をロール加工してなら作れるかもしれない。確かハラサワっていう会社ならやってたと思うな」
S「相談してみます。夢をかなえるために!」
O「思い入れ強すぎだ!」