未然に防ぎたい行き違い ~全長の加工限度~
お客様とのやりとりの中で生じる行き違いをテーマにした本稿。さて、第三回目となる今回は「全長サイズ」についてです。ご新規のお客様からお引き合いいただく中、数多くご質問を受けるのが『板巻きパイプの全長の加工限度』についてのお話です。パイプ=配管で理解されている方も多いだけに生じていることと思いますが、それでは今回もどうぞお楽しみください。
連続造管などで作られる一般的な鋼管と比べたとき、板巻きパイプの長所として挙げられる点は、①インチ規格外の自由な径サイズでの製作が可能、②市場に出回っていない鋼種やパンチングなどの加工を付加したパイプの製造が容易、③必要な数量のみ製造できるため在庫の無駄が発生しない、という3点です。
中でも自由自在な径サイズでのパイプ製造が可能という特徴は、多くのお客様から重宝いただいておりますが、一方で全長は実現できるサイズが限定されます。
この理由は大きく2つあって、1つは当たり前の話ですが、これは弊社が板材の丸め加工にロール機を用いるからで、加工が設備の能力に制限されるためです。ロール機は現状、一番長くて概ね500mmまでが全長の加工限界値となります。
ただし、これも製作する径のサイズによって限界値が変化します。これが2つ目の理由になりますが、圧力を掛けて鋼板を曲げていくウレタンロールは、おおまかに言うと径が小さくなっていく程、全長の限界値が小さくなっていき、径が大きくなっていく程、全長が長いものまで加工が可能になってきます。これは圧力の掛かり方に起因するものですが概ね直径サイズの7~8倍の数値が理論上の全長の限界サイズになります。さらに言えば限界サイズは板厚の値にも影響を受けてくるのですが、一先ず「普通のパイプのように1m~2mのような長さは作れない」というのをご理解ください。
では具体的にどの程度ならできるのか?そんなふうにお困りのときは、ズバリ直接お問い合わせいただくのが一番です。お気軽にご相談ください。規格表がございますので、こちらも合わせてご利用いただけると幸いです。
鋼管では分が悪い。そんなときこそ板巻きパイプが便利です。今回のお話から「ハラサワの出来ることとは何か?」をよりご理解いただけることを願います。今号もご愛読いただき、誠にありがとうございました。