未然に防ぎたい行き違い ~サイズ表記での注意点~

私たちが常識と思っていることが、他の人にとっては常識ではないことは少なくありません。そしてこの認識のズレから思わぬ問題が発生することもあります。できればこうした行き違いを避け、双方にとってより良い仕事ができればいいなと考えています。

本稿では昨今新規のお客様が増えている事情から、シリーズとしてお問い合わせやご依頼をいただいた際に特に注意している、互いの常識に端を発する「認識のズレ」、「誤解」について取り上げいきます。この記事がみなさまのお役に立てば幸いです。今回は「サイズ表記」について取り上げてみました。どうぞお楽しみください。

例えば通常鋼板のサイズ表記を【板厚×幅×長さ】とするところ、私たちは都合によりこれを社内的には【幅×板厚×長さ】のように表記することの方が多かったりします。このようなことが御社ではないでしょうか。

 ★サイズ表記に関して
ものつくりの世界では基本規則に従って共通の数値や記号の表記を用いなければならないことになっています。が、実際はそれぞれの企業が属する業界や業種の都合により、若干の差異があるもの。特にパイプのサイズ表記にはいくつもの方法があり、注意が必要です。

みなさまは「呼び径」のことをご存知でしょうか。パイプはパイプでも配管に属する鋼管ではそのサイズ表記にA呼称やB呼称(一般配管用ステンレス鋼管ではSu呼称)といわれる「呼び径」を用いることが一般的です。この呼び径、少々複雑で「表記のサイズが実寸値を表していない」というクセがあります。これは日本における配管の寸法体系に由来してのことですが、同じ業界に属する方同士なら問題はないものの、そうでない人間にとってかなり誤解を招きやすいもの。

私たちが取り扱う板巻きパイプ。製缶、造管、板金など複数の業界にまたがるような性格をした製品ですが、様々なお客様からのご依頼に間違いなくお応えするため、通常このサイズ表記には外形の実寸値(mm表記)を基準にして【外径(φ)×板厚(t)×長さ(ℓ)】のような書き方をしています。

お客様からのご依頼がどのようなサイズ指定の仕方であっても問題はございません。ですが、外形の実寸値基準以外の方法でサイズを指定されるとき、お手間ですがそれを注記いただくか一言お知らせいただけると幸いです。

残念ながら過去にお取引もなく図面もなく、サイズ指定のみでご依頼された場合、お客様からお知らせいただかない限り指定のサイズが何を基準にしているのか、私たちからそれを特定することができません。これによりお取引の上での行き違いが生じる恐れがあるのです。例えば、注記やご注意なくサイズを90と指定されたご依頼に対して基本私たちは外径実寸値φ90㎜の製品をお作りします。これが「実は呼び径での指定で、実寸値101.6㎜だった…」などということも場合によっては起こるのです。内径指定の明記がない場合も同様です。

もちろんお客様をご対応する窓口担当もこうした行き違いを防ぐために都度不明点の確認を行っておりますが、より間違いないお取引のためにもご協力の程よろしくお願いいたします。ご講読ありがとうございました。