行き違いにご用心!上司と新入社員の意識差

「その仕事に時間をかけすぎだ!もっと手早く仕上げろ」
「バカッ、今度は手を抜き過ぎだ!もっと丁寧にやれ」

新入社員の教育ではこのようなやり取りがよく見かけられますが、熱心な指導と裏腹に教育を受けている新入社員は「さっき手を抜けって言ったじゃないか…」と理不尽に思っていることが多いもの。このように教育している上司と教育を受けている新入社員では行き違いが起こり、双方が悪い気分になってしまうことがあります。御社でもこの手の新入社員教育にまつわる問題がこれまでになかったでしょうか。

なぜ行き違うのか
行き違いはなぜ起こるのでしょうか。その理由はお互いの意識の違いにあると思われます。新入社員は社の将来を背負って立つ人材。上司は期待の分だけできる限り多くを叩きこもうと、指導に力がこもります。また、大義名分のもとに社員へ強力な指導を行なえるのは入社して間もないこの時期だけ。自然と言い方も直接的に強めな口調になってしまいます。ですが新入社員はまだ学生から社会人へと変化の途中。社会人としての自覚も自身の制御もまだしっかりとしていません。自己防衛の意識から指導に対してつい感情的になってしまい、指導されている内容を論理的に理解できなくなってしまうのです。

上司から歩み寄る
上司の方(かた)の逸る気持ちも仕方ないことではあります。しかし、新入社員の許容量や成長の段階を無視して指導を行なっても、本来意図する効果は全く得られません。「仕事は自分で学ぶものだ」とか「仕事は根性」といった価値観で極端な手法を採られる方が今でもいらっしゃいますが、あまり賢明とは言えません。行き過ぎた指導は新入社員を萎縮させてしまったり、最悪退職に追い込む原因となります。

かつて自分が新入社員だったとき、右も左も解らないうちから突き放されて途方に暮れはしませんでしたか。どうすればいいかを考えるのに必要な知識や経験がない内から「自分で考えろ」という指示や指導は、積み木もないのに積み木を組めと指示しているのと同じです。また、積極的に困らせるようなことをしなくても仕事には困難と理不尽が溢れているもの。ただ仕事を与え続ければ根性など経験と時間の経過で自然と鍛えられます。自分のやっていることはただのイジメだとはっきり自覚してください。

コンフリクトを取り除くには歩み寄るほかありません。上司と新入社員の間のコンフリクトの場合、最初に歩み寄り、より多く踏み込むべきは上司の側です。能力的に優れて経験も豊富。人間的にも円熟しているはずの上司から折れてやらずにどうしますか。こういう時こそ大人の対処を見せてやるべきです。

理解させるのに必要な指導
ただ、近年学生気分どころかお客様気分でいる新入社員の存在がしばしば見受けられます。こうした相手に過度の譲歩をしては、増長を促すばかり。労働の対価にお金をいただく側に在って手取り足取りのサポートを前提に受け身の姿勢でいるのは思い違いも甚だしいこと。「働く」という意識をしっかりと持たせなければなりません。

社会人としての在り方として必要なことをしっかり教えるためにも、言って聞かないなら場合によっては鉄拳制裁も「愛の鞭」です。