回帰的マネジメント-4『雑用・掃除』
回帰的マネジメント-4『雑用・掃除』 悩ましい新人教育。雑用・掃除の有効性とは?
簡単ではない新人教育。かつて下積み時代に上司や先輩たちにさせられていたことが、指導上の課題にも有効なのではないかと説くこのシリーズですが、今回は『雑用・掃除』です。
さて、みなさまの職場では事業所内の雑用や事務所、現場の掃除はどなたがされていますでしょうか。今回のテーマとした『雑用・掃除』、かつては新入社員にさせる定番の仕事でした。その意図するところには新人教育、新人の社会人としての仕事に対する「見習い」の第一歩を狙う部分が少なからずあったかもしれません。
『どこに何があるのか、誰がどんな案件に携わっているのか、社内の人間はどんな性格なのか』。みなさまにとってはもはや「当たり前」になっているこれらの事柄は業務遂行のために欠かすことのできない知識です。しかしながら、入社したばかりの新入社員達はこれらを知る機会がありません。こうした知識を座学によって身に付けさせようとしてもまず上手くいきません。そこで『雑用・掃除』を機会として使い、反復によって学習させるのです。ただ、この手法を行使するにあたっては、反発を招く可能性があるため合意形成のための説得は欠かせないでしょう。
「みんなの仕事を見て、そこからウチの会社ではどんな風に仕事をするものなのか見習ってきてほしい。だから気遣い、心配りでみんなの仕事を気持ちよくするサポートをしながら仕事の勉強をしてほしい。」という内容が骨子となります。
ちょっと白々しいレベルの説得ですが、一例としてこんな感じで指示をされるのが良いかもしれません。また、この指導の副産物的効果として上司は新人にしてきた雑用について報告させることで、先輩社員たちの仕事を見習わせると同時に事業所内の部下の仕事の進捗を波風立てずに監視・監督できるとも言えます。
セクト化が進んでいる企業であれば不適切となるかもしれません。しかし一人一人の業務の幅が大きく、誰もがなんでもしないと回らない環境の企業であれば今なお有効かと思います。指導にあたって常に意識することは、仕向けたい方向に進む方が「楽だよ。簡単だよ」、あるいは「すると良いことがあるよ、喜ばれるよ」と認識させること。順調に進めば新人は自然と仕事を把握しているでしょう。