営業オークボの科学技術解説:Ro浄水器
営業スズシロ「おはようございます、オークボ先輩」
営業オークボ「おはよう、スズシロ」
(以下スズシロとオークボで表します)
スズシロ「前テレビに豪華客船が出ていたんですけど、水とかどうしているんですかね? 水を港から蓄えていくわけにいかないですし」
オークボ「そりゃそうだ、エベレストに上るわけじゃあるまいし全部持っていくわけにはいかない」
スズシロ「なんか特別な機械でも載せているとか?」
オークボ「おっ、メーカーに勤めていると見どころが違うな。その通り、特別な浄水器を積んでいるんだ」
-特別な浄水器・Ro浄水器は何が違う?-
スズシロ「浄水器? 家庭についているような機械で大丈夫なんですか?」
オークボ「いや、特別な浄水器だよ。RO浄水器っていうんだ」
スズシロ「う~ん、聞いたことないですね」
オークボ「使われているところではかなり使われている。各家庭はもちろん、浄水施設や下水処理、さっき言った豪華客船から宇宙船にまで使われているんだ」
スズシロ「すごい、大人気ですね。でも普通の浄水器と何が違うんですか?」
オークボ「ROとは、Reverse Osmosisの略で、逆浸透現象のことを言うんだ」
スズシロ「…いや、よくわかりません…」
オークボ「簡単に言うと、原水をろ過するのにフィルターではなく膜を使っている、と考えればわかりやすいと思う」
スズシロ「あっ、それならわかります」
オークボ「そしてこの膜はの特徴は、汚れた水から水の分子だけを通過させる点だ。フィルターの場合は残留塩素や、水道管の中から流れ出た物質を取り除いておいしい水にする。しかしRO浄水では水の分子だけを通過させるから、純水、と呼ばれる水ができるんだ」
-開発が始まって60年以上。いろいろなところに使われています。-
スズシロ「すごいですね、それが豪華客船とかに使われているんですか?」
オークボ「その通りだ。豪華客船だけじゃない。水の確保が難しい地域での浄水施設に使われているんだ」
スズシロ「浄水器といえば、フィルターのイメージがありますけど、RO浄水は新しい技術なんですか?」
オークボ「そうでもない。逆浸透膜浄水器は、1950年代にアメリカで海水を淡水化させる研究として始まった。その後の60年代から70年代にかけて、研究と開発が進んでいった。日本でも70年代にはプラントが建設され実用化が始まったから、ちょっと昔、って感じだよな」
-でもある問題も…-
スズシロ「でも、ちょっと昔からあってそんなにいい物なのに、みんな使っている、って言う話は聞かないですね。何でですかね?」
オークボ「そう、ここにRO浄水器の欠点がある。コストが高いんだ」
スズシロ「う~ん、コストの問題かぁ… 高いのは困るなぁ…」
オークボ「そうなんだが、いい物を手に入れようと思うとコストがかかるのは仕方ない、と言えるだろうな」
スズシロ「じゃあ、そんな水で作ったコーヒーとか水割りとかっておいしいんですかね?」
オークボ「そうだな、確実にこうなる、とは言えないが何かしら影響を与えるみたいだぞ」
スズシロ「いいですね、期待できますね。じゃあ、来月あたりにでも飲ませてください」
オークボ「いや、いきなり買うなんて言ってないぞ…」