加工実績集 Vol.3
今回で第3稿目となる加工実績集。お客様から見て加工できそうなのに無理なもの、無理そうに見えて加工できるものをご紹介していく本稿に、併せて弊社webサイトの技術紹介や製品紹介、FAQのページもご覧いただけるとよりお楽しみいただけるかと存じます。本稿がみなさまの弊社に対する理解を深め、ご注文の際の参考となれば幸いです。
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【今回の事例】
製品名:一輪挿し
材質:SUS304 BA
寸法:φ21×1.0t×150mm
備考:板巻きパイプを用いた一輪挿しの花挿し
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先日、お客様より少し変わったご依頼をいただきました。丸底をした試験管のような形状の、一輪挿し花挿しの製作のご相談です。お話を伺ってすぐにこのご相談が非常に実現の難しいものであることがわかりました。今回は細径パイプ製作の何点についてご紹介します。
まず本件の径サイズ。外径φ21mmは弊社の板巻きパイプでは規格外の径サイズとなり、丸めることが出来ません。(規格表)ウレタンロール機による丸め加工は、理論値で板厚の35倍~40倍の直径までしか加工ができないのです。さらに底の部分を作るために金型の製作が必要となり、本件のターゲットとされるコストから外れてしまうことも容易に予想できました。
これらの問題をお客様にお伝えしたところ、お客様からはお返事は「ハンマーなどでの叩き出しで製作し、あえて粗めの作りにすることでいわゆる“手作り感“を演出した製品にしたい」というものでした。
どうにかすればこのご要望通りの製品も製作可能ではありましたが、弊社では純粋な「板金加工」はあまりしておりません。このため、本件ではお客様にご満足いただけるだけの製品を仕上げる確証がないことを理由に、弊社で実現可能な新たな形状の一輪挿しをかわりにご提案いたしました。
ご提案したのは三角形に切り出した板材を3枚、Tig溶接で接合してつくる三角錐状(細長いピラミッド)の花挿しです。この案に試作サンプルを添えてお客様とお話いたしましたが、価格、デザイン、品質そのすべてで高い評価をいただけました。
弊社は手溶接による板巻きパイプの組み付け加工もしている分、溶接加工も得意としております。ただ、他の板金加工をされている企業様とくらべ、丸め加工に特化している分、できないことも少なくありません。その中で今回のような弊社で扱いきれないご依頼にもできる限りNOと言わず、双方にとってベストとなるご提案ができるよう努めております。
一番なのは、正確に「ハラサワの出来ることとは何か?」をご理解いただき、その上でベストな利用をしていただくことですが、本稿がそのためのご参考になることを願います。
本稿は実際にいただいた案件をベースに執筆しておりますが、ご講読くださっているみなさまで、なにか弊社に対する関心事があれば是非、お聞かせください。お客様の一声一声を無駄にせず、お客様に満足をご提供できる企業を目指して参ります。
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~To be continued~