来場者への声掛けに
津々浦々で開催される展示会の数々。出展には高額の費用と多大な手間を要するも、多くの企業がビジネスチャンスを求めて参加されます。一方で「ブースに人が来ない」、「来場者が足を止めてくれない」、「配布資料が全然配れない」、そんなお話を聞くことも少なくありません。みなさまはいかがでしょうか。
◆いかにして来場者に気付いてもらうか
集客を考える上で大事なのは来場者の視点。まず、ブースの存在を来場者に気付いてもらう必要があります。しかし来場者の内、具体的に解決しなければならない課題を認識している方はごく一部。 ほとんどの来場者は出展社が期待するよりも格段に「軽い気持ち」で会場に来ており、よほど自分の仕事に近いものでなければ関心を寄せてくれません。 さらに言えば、数多の企業が犇めく中で知名度も予算もある大手企業よりも目立つのは難しく、中小企業のブースは印象として集団の中に没していきがちです。かといって限られた営業予算の中で大手企業と同等のプロモーションを実施することは現実的ではありません。
そこで以前の記事で紹介したランチェスターの法則です。そもそもブースへの来場者が少なかったとしても、そんなことはターゲットとする層の来場者さえ得られれば悩むようなことではありません。ターゲットとなる来場者が思わず目を留めるキャッチコピーを練り、ブースの最も目立つ位置にサインとして掲げます。まずは来場者の目を引くのです。足早に通り過ぎる来場者の目にも止まる、度肝を抜くくらい強烈なキャッチコピーでブース前に釘づけにしてしまいましょう。もちろん不当表示防止法には十分ご注意の上で、です。
◆怖がられない声掛けを
キャッチに目を向けて足取りの遅くなった来場者には声掛けで囲い込みに入ります。一般的な手法は資料やアンケート、ノベルティを配りながら声を掛けるやり方です。しかし日本人は恥ずかしがり屋で怖がり。ただ何もなしでいきなり声を掛けられたのでは面を食らってしまいます。重要なのは来場者に「突然話し掛けられた」と思わせないこと。
そこで少し工夫。予め来場者の進行ルートに立っておき、その上で声を掛けるのです。こうすれば先にスタッフの姿が目に入るため、来場者も心の準備が出来るでしょう。ブース前でチラシを手に立っていれば、来場者はそのチラシを差し出してくるであろうことを想像できます。歩み寄り、声を掛け、配布物を手渡す。この順でスムーズに応対できれば相手からの心証もちょっと違ったものになるはずです。
◆さあ、実際に声を掛けましょう
では、配布物を差し出しながらどのように声を掛けたらいいのでしょうか。私が見かけた声掛けのパターンをちょっと例にして分析してみましょう。
① 何も言わずに配布物を差し出す。
② 「○○○○(会社名)です。よろしくお願いします」
③ 「○○○○(製品名)を展示しています。是非お立ち寄りください」
④ 「○○○○(キーワード)について提案しています。○○○○でお困りではありませんか」
さて、皆さんが来場者の立場だったとして、どの声掛けが一番気に掛かるでしょうか。①は声掛けですらありませんが、ノベルティや配り手自身が魅力的ならば有効かもしれません。②は誰でも知っているような企業であれば有効でしょう。③の場合、製品名そのものがキャッチーならば有効なはずです。しかし営業の基本は「for you」。本命は「こちらのことを考えてくれている」という印象を与えやすい④。出展における訴求ポイントである「キーワード」を含めた短いセリフ。大体はキャッチコピーと重複することになりますが、一言でターゲットの気を引き、思わず差し出されたチラシを受け取ってしまう効果的なセリフを考え、スタッフ全員に声掛けを徹底するのです。
ここまでできれば展示会の成功は約束されたも同じ。今回ご紹介したテクニックでぜひ新たなビジネスチャンスをつかみ取ってください。