ISO取得物語 ver.1

「ISOは取得した方がいいのか?」

2011年5月にISO9001:2008(登録コードJSAQ2612)を取得したハラサワ。その取得作業に当たったのはハラサワの若手メンバー達でした。当社も苦労したISOの取得。作業を開始してから取得までの具体的な道のりと、ISO取得についての考えを、メンバー代表の西村にインタビューしました。
ここではハラサワでのISO取得例を余すところなくご紹介します。

【インタビュー】
→ ISO取得に踏み切った理由は何ですか?
当社の場合理由は二つあって、一つは「客先からの要望」。もう一つは「経営改善の一手として」となります。二つといっても後者の意味合いが強くて、これは取得を考え始めた当時、「社長の交代、社員の世代交代に備えて経営の仕組みの整理と強化が必要だった」という課題があり、ISO取得はこの解決を狙った 試みの一つだったのです。
もっとも、ことが成る前に前社長が亡くなり、結果、社長交代には間に合わせられませんでした。ISO取得は私にとって前社長から受けた最後の仕事になります。成功のご報告が墓前になってしまったことは残念でなりません。

企業がISOを取得する、最たる理由が前者の理由らしいですが、「取った方がいいんじゃない」くらいにしか言われることもなくて、これはホントおまけみたいな理由になりますね。この点、汲々取得をせずに済んでお客様方には感謝しております。

→ ISOを取得することの必要性はどのくらいあると考えますか?
企業によっては全く必要ないものに思います。むしろ多くの場合は客先から強く求められない限り、取らない方がいいと思います。 取得に向けての作業もすごく大変ですし、ひとたびISOを取得すると定期的に無視できない額の出費が生じます。加えて、QMSの維持と継続的改善には多大な時間と労力を費やすことになるので、まず間違いなく様々な問題が噴出します。
人材の質、社員間の人間関係、業務の仕組みの整備状態、文書管理能力など、自社の実情を冷静に分析した上で取得を決めないと後悔することになるでしょう。

→ 取得後の今、実際に役に立った場面を具体的に教えてください。
現時点ではありません。ネット上で面白いアンケートの集計結果を見つけたので参考までに転載します。

■ISO導入後社内で目に見えて効果があったことは?(複数回答)

作業手順が明確になった 50件 78.1%
責任と権限がハッキリした 38 59.4
トラブル内容がよく把握でき、適切な対策が取りやすくなった 30 46.9
作業に対して確認をする習慣が出来た 30 46.9
ルールを守る風土ができた 28 43.8
規定書、標準書作りを通して、作業の見直しが行われ、能力
がワンレベルアップした
20 31.2
トラブルが社内で未然に防げるようになった 16 25.0
マニュアルができたことでアルバイト、パート職員にも作業
指示が徹底した
13 20.3
経営者、中間管理者の態度が変わった 12 18.8
社員が誇りに思うようになった 6 9.3
営業マンの士気が高まった 5 7.8

 

■ISO導入後社外との関係で目に見えて効果があったことは?(複数回答)

得意先への品質管理の説明が楽になった 37件 57.8%
ISOを取得している得意先に対しては信頼性が高まった 33 51.6
受注の際のセールスポイントになった 23 35.9
得意先に対して他社との差別化ができた 23 35.9
物損事故、トラブルの件数が減少した 17 26.6
外注管理がスムーズになった 14 21.9
得意先の監査が軽減された 14 21.9
得意先との受注関係がより強固になった 12 18.8
物損事故、トラブルによる金銭的損失が減少した 11 17.2
得意先からISO指導の依頼があった 6 17.2
入札資格のひとつとなっても慌てることはなかった 8 12.5
得意先の目が対等になった 5 7.8

【転載元:http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?StoryID=4734】

これらの効果は、「取得することで得られる」と書かれていますが、取得後の活用こそが効果を生むものだと私は思います。実際、現段階で上記の効果を得ることはできていません。「とっただけISO」では意味がないのではないでしょうか。
余談ながら、転載元にある「■ISO導入後問題化したことは?」のアンケートの集計結果はとても真実に近いものです。これは非常に参考になるアンケートだと思います。


【ご講読いただきありがとうございました。次号へ続く!】

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