購買部課長に聞いた!海外メーカーとの取引の実情

昨今変化目まぐるしい社会情勢と、それに影響されて一層難しくなる操業。様々な業界の様々な企業で最前線を戦う方々に今どうで、これから何をするのかを問い、記事にするドキュメンタリーテイストのシリーズ。今回はその第2回。多くの企業が頭を悩ませる海外メーカーとの価格競争に関わる情報をみなさまに提供いたします。今回取材したのはさる中堅自動車部品メーカーの購買部課長。この方に海外調達のことについて伺いました。聴取できた情報は何回かに分けてみなさまにメルマガとして配信いたします。今回は海外調達が始まった経緯、背景についてのお話です。

さて、こちらの企業の購買部課長になぜ海外メーカーとの取引を始めたのか率直に尋ねると、同社では海外メーカーとの価格競争に対して自らも海外メーカーを仕入先として利用することで競争に打ち勝とうとしたとのこと。いわば「毒をもって毒を制す」戦術です。しかしこの選択も言葉の通り大きな覚悟もって決断され、少なくない負担と犠牲のもとに何とか動いているとの実情も聞けました。

海外への事業展開は既に多くの企業が着手しており、国内製造と遜色ない水準の品質と供給ができる企業もいくつもあります。しかし同社では価格競争の背景もあって実力的にはまだ課題が残っているような二流以下レベルの企業を選択せざるを得ず、指導も含めたゼロからの工程立上げをすることになったのです。結果としてなかなか止まらない問題に管理部門の優秀な実務担当たちが潰れてしまい、その1/3を失いました。

「毒をもって毒を制す」。しかしやはりリスクは高かったとのことでした。こうしたリスク以外にも我々は海外企業との取引の末、中抜きや技術流出が起こり廃業に至った企業もあったことを耳にしております。ただこの犠牲と引き換えに海外メーカーとの価格競争を戦う武器を手にしたのもやはり事実なのです。次回は「海外メーカーの指導で困ったこと」についてお話いたします。止まらない問題とは具体的にどのようなものなのか、その一端について触れていきます。