検査基準・部品検査法-検査と測定方法の取り決めの重要性-
製品に付属している検査成績書。製品が求められる品質通りかどうかを示す検査成績書は品質を管理する上で大事な書類ですが、そもそも製品の品質をどのように確認して、どの程度だったら良品とするのかは明確にされ、取引先と取り交わしされていますでしょうか。今回はそんな『検査基準・部品検査法』に関するお話です。できばえ管理の方が身近な企業様向けに、統計的手法は割愛してできるだけ簡単な内容になるようご紹介いたします。
仮に検査項目の取り交わしや合否判定基準、評価方法や測定具の取り交わしをしなかった場合、最悪どういう事態が起きるでしょうか。例えば…リングゲージで外形を全数検査している製品に対して「外径寸法がNG!」と客先から不具合の連絡が入ったとします。詳細を確認するとリングゲージで検査をしている部位は問題ないものの、リストライク(径矯正)のかからないパイプ真ん中付近が外径寸法NGと言うのです。このように客先にせよ仕入先(外注)にせよ、測定部位や測定方法をどのように行うか取り交わしておかないと後々言い掛かりのようにも思うNG判定を受けるリスクが残るのです。
そうならないためにも製品納入後の後工程や使用用途を踏まえて品質を管理するために、図面の各要素から重要と判断されるものを選出し、それに対する評価方法や測定機器を定め、取引先と取り交わす『検査基準・部品検査法』が必要となります。引き合いにした事例で言えば、測定ポイントと径の有効範囲、その検査方法の取り交わしが不備だったと言えます。長さや幅のような要素でも測定する箇所によって寸法が異なることなど当たり前にあること。どこの個所を測定確認するか定める必要があります。径といった要素でも全周にわたって同じ寸法であることなどまずありえません。
最低でもXYの2方向、定めたポイントで確認するよう取り交わさなければASSY時の不具合発生は免れません。測定機器の選定方法についても、図面規格値より1桁多い分解能が必要とされます。(±0.25の公差の個所は、ノギスでは適切に評価できないということです)
例え製品の全数保証をしているわけではない取引であっても、評価や合否の基準の曖昧さはリスクが残ります。1個2個の不良であれば、なあなあにできても大量の不良となれば、お互いそうもいかないからです。大きな問題が起きた時ほど一方的に不利益を被ることになるリスクがあるのです。