メタルレポート vol.4
株式会社ハラサワの得意技、「金属を丸めて、板にする」こと。
しかし、一口に金属といっても特性や価格は本当に様々で、使用する用途により最適な材質はそれぞれ異なります。
今回は、頻度は低いのですが弊社で使われることのある「アルミ」と「真鍮」を、「エコ」を切り口にご紹介していきます。
アルミリサイクルにメリットは無かった!
よくアルミはリサイクルに良いといわれます。確かにアルミ缶はリサイクルに向いています。しかし、それは「アルミ缶」だけのことであり、アルミ材のリサイクル では話は別です。アルミ缶ではそうでもないのですが、アルミ材となると精錬に多量の電力が必要になります。そのため、新しくアルミ材を作るより、リサイクルしたほうが高コストになるのです。コストが高ければ価格が上がり購入意欲も落ちますし、電力を多量に使えば、環境にも悪いでしょう。アルミのリサイクルにまつわる問題はまだあります。アルミはリサイクルする際に、「ドロス」というアルミ酸化物が発生します。この中のアルミ分も回収は可能なのですが、回収してもゴミとなるアルミ酸化物が残ってしまうのです。このアルミ酸化物は、製鋼添加物として再利用されますが、利用されるのは8割で、残りの2割は廃棄します。そして、これを処理するまでの間に有毒物質が流れ出し、環境悪化を招いているのです。このように、実はリサイクルに良いと言われるアルミのリサイクルには経営面、環境面でも問題があるのです。
コスト高になる真鍮、これからも使われるか
真鍮は昔からよく使われる金属ですが、最近ではこの真鍮も環境面に悪い物質になってしまいました。それは、「RoHS指令」が発令されたからです。これは電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU) による指令のことです。真鍮はカドミウムを含んでおり、この規制の対象になったのです。これに対応するために、「カドミレス真鍮」が販売され始めました。しかし、これで解決、とは簡単にはいきません。このカドミレス真鍮は価格が今までの真鍮より約2倍(※1)します。薬きょう、ファスナー、バネなどに使われる真鍮は大量生産に使われますので、単価が高くなってしまっては顧客にも選ばれません。そのため、これから真鍮の活躍できる場面は減ります。上記の製品にも代替金属が使われ始めるでしょう。ただ、管楽器には今後も使われます。元々大量生産ではなく、真鍮が使われているからです。つまり、楽器以外では他の、安価な金属を探すべきです。
(※1)真鍮とカドミレス真鍮の値段比較