『考具 考えるための道具、持っていますか?』
「考具」とは著者がつくりだした“考えるための道具”という意味の造語です。本書では広告会社に勤めていた著者が、アイデアを出すためのヒントとなる様々な手法を紹介しています。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
この言葉は、ジェームス・ウェブ・ヤング氏が『アイデアのつくり方』という本で定義したものですが、本書を含む様々な本でも引用されている考え方です。ゼロから生まれるアイデアは一つもなく、それぞれが何かしらのヒントを得て生まれています。みなさんの中にもアイデアを出すために、以前利用して便利だったものや印象に残ったものを例にして考えた経験があるのではないでしょうか。ビジネス上で言えば、他業界の常識を別の業界に持ち込むだけで、充分新しい取り組みになるということです。
考具として本書で紹介されている手法は、例えばカラーバスという、その日一日のラッキーカラーやモノを決めて出かけるというものです。「今日は赤」と決めただけで普段何気なく見ていたものが、意識して見ることで多くの情報に気が付きます。アイデアを考えるとき、基となる要素に関係した狭い範囲で捉えてしまうことが多いかと思います。そこでカラーバスの登場です。一見、全く関係なさそうなものが集まりそうですが、先にも述べたようにアイデアは既存要素を持っているので、ヒントを得るには充分効果があります。この他にポストイットやマンダラート(※1)、マインドマップ(※2)など簡単に活用できる方法がたくさん紹介されています。やり方なども詳しく書いてあるので、読み進めながら思わずメモを取りたくなります。
(※1)マンダラート |
(※2)マインドマップ |
発想・アイデアの重要性が高まってきている現代社会で、あらゆるビジネスパーソンが身につけておきたい基本的な考えが本書に集約されています。まだ読んだことないという方には、ぜひこの機会にお薦めしたい一冊です。
『考具』 TBSブリタニカ 著者:加藤昌治